タマの助産師外来

助産師タマの、マタニティライフを楽しむための生活のヒント

旅行について

妊婦さんの旅行についてはよく質問を受けます。

特に、初産婦さんは、夫婦2人での旅行はこの先しばらく難しいと思います。子どもが産まれる前にと考えるのも不思議ではありません。

しかし、なるべく近場で短期間。必ず母子手帳を持って。と答えています。なぜなら、たとえば旅行先で出血した場合、どうしますか?旅行先に産婦人科がないかもしれません。あっても普段通っているところで見てもらってくださいと言われるかもしれません。状況によっては、すぐに入院、絶対安静ですとなるかもしれません。

万が一のことを考えると、近場に短期間じゃないかなと思います。以前に、離島に旅行に行って旅先で出血があって電話があったけど、どうにもできないという状況が何度かありました。旅先で陣痛が来て、旅先の産婦人科で出産した方もいます。無事でなによりですが、最悪の状況もあり得なくないので旅行は慎重に考えてほしいと思います。

 そして、万が一旅先で受診することになった場合に、母子手帳が必要です。母子手帳には、今まで受けた検査の結果や妊婦健診の記録が全部記されています。旅先での産婦人科母子手帳があれば、その妊婦さんについて詳しく知ることができます。何かあって受診する場合、必ず意識があるとも限りません。もし、母子手帳もなくご本人も意識がない場合、おなかの赤ちゃんは何週なのかも正確に知ることはできません。母子手帳の情報がとても大事です。

 

帰省などで飛行機や船に乗るということもあると思います。

飛行機については、各航空会社で規定があります。各航空会社によって規定が異なりますので、航空会社にお問い合わせください。

機内は、湿度が低いため水分を十分にとらないと脱水症状が起こりやすくなりますので、水分はしっかり摂るようにしてください。妊婦さんは、血栓を作りやすい体になっていますので、エコノミークラス症候群の予防が特に必要です。水分補給をまめに行い、弾性ストッキングを着用したり、座った状態でも足を動かすことで予防できます。通路側の席に座り、トイレも我慢しないようにしてください。

最近は、原発事故等あり放射線被ばくに敏感になられる方も多く飛行機での被ばくを心配される方もおられると思いますが、月に約80時間の飛行までは胎児に危険はないとされています。

時差ぼけについては妊娠が進むにつれ、疲労と時差ぼけは増加するとのことですので重大な決断等は目的地到着後はしないようにお願いします。

船旅は、妊娠中、船酔いを増悪させるといわれています。船も妊婦については乗船規定がありほとんどが7か月までは乗船できるようです。船は、大きく揺れることもあり転倒には十分に注意しなければなりません。デッキでの歩行は、やめておきましょう。

温泉については、家庭での入浴とあまり変わらないとしています。注意してほしいことは、高温や低温は避け、10分程度の入浴にする。冬場の露天風呂は、やめておきましょう。一人で入った場合、なにかあったときの対処が遅れるので、一人で入ることは避けましょう。妊娠初期のサウナや暑いときの疲労は、母体が高体温になり胎児が神経管欠損症になることがあるという報告もありますので、妊娠初期のサウナはやめましょう。

旅行や帰省については、切迫症状のない妊娠経過が良好な妊婦の場合です。切迫症状がある場合には、帰省もできないことも珍しくありません。妊娠中の長距離の移動は、医師に相談するようにしましょう。